ダンスレッスンを受けていると、
「もう少しメリハリをつけて踊ってみよう!」
「ここはもっと強く、次の動きは力を抜いてみて」
などと先生から言われたことはありませんか?
前回のコラムでは、ダンスにおける「重心」についてご紹介しました。
同じ振付を踊っていても、重心の位置や重心移動の大きさによって、動きの見え方は大きく変わります。
そして、振付をより魅力的に見せるために、重心とあわせて意識したいのが、今回ご紹介する「メリハリ」です。
振付をしっかり覚えて、手や足の形も合っているはずなのに、
「なぜか自分のダンスはのっぺりして見える」
「先生と同じ振付なのに、何かが違う」
「一生懸命踊っているのに、動きが単調に見える」
と感じることはありませんか?
その原因のひとつとして考えられるのが、動きの強さや速さが最初から最後まで同じになっていることです。
ダンスは、すべての動きを大きく、強く踊れば上手に見えるわけではありません。
素早く動くところがあれば、ゆっくり動くところもある。
そして、ときにはピタッと動きを止める。
このような「強い・弱い」「速い・遅い」「動く・止まる」といった変化があることで、ダンスにメリハリが生まれます。
では、ダンスの「メリハリ」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
今回は、ダンスにメリハリをつけることの大切さや、踊りが単調に見えてしまう原因、メリハリをつけて踊るためのポイントや練習方法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
「振付は踊れるようになったけれど、もう一段階上手に見せたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
ダンスにおける「メリハリ」とは?
ダンスで使われる「メリハリ」とは、簡単にいうと、動きに変化をつけることです。
たとえば、
● 強く動く、優しく動く
● 速く動く、ゆっくり動く
● 大きく動く、小さく動く
● 力を入れる、力を抜く
● 動く、止まる
など、ひとつの振付の中でも動き方に変化をつけることで、ダンスにメリハリが生まれます。
反対に、最初から最後まで同じ強さ、同じスピード、同じテンションで踊っていると、振付そのものは合っていても、全体が平坦に見えてしまうことがあります。
ここで大切なのが、「メリハリをつける=ずっと強く踊る」ではないということです。
たとえば、音楽の中で「ドン!」と強い音が鳴った瞬間に身体を強く使ったとしても、その前後もずっと全力で動いていたら、その「ドン!」という瞬間はそれほど目立たなくなってしまいます。
一方、その直前で少し力を抜いたり、動きを小さくしたりしていれば、次の強い動きがより印象的に見えます。
つまり、メリハリをつけるためには、強く動く技術だけではなく、弱く動くこと、力を抜くこと、そして止まることも大切なのです。
なぜメリハリがあるとダンスが上手く見える?
同じ振付を踊っているのに、ダンスが上手な人の動きはなぜか目を引くことがあります。
その理由はもちろん一つではありません。
身体の使い方や基礎力、リズム感、表現力など、さまざまな要素が関係していますが、その中のひとつが動きのメリハリです。
メリハリがあることで、一つひとつの動きの特徴が見えやすくなります。
たとえば、腕を伸ばす振付があったとします。
「ここまではゆっくり伸ばして、最後だけ素早く伸ばす」
「伸ばした瞬間にピタッと止める」
「一度力を抜いてから、次の音で強く伸ばす」
など、同じ「腕を伸ばす」という振付でも、動き方によって見え方は大きく変わります。
振付を覚える段階では、「右手を出す」「左足を踏む」といった動きの順番や形に意識が向きやすいものです。
そこからさらに、
「どのくらいの速さで?」
「どの音を強く見せる?」
「どこで止まる?」
「どこで力を抜く?」
といった部分まで考えられるようになると、同じ振付でも踊り方に立体感が生まれてきます。
メリハリがない踊りに見えてしまう原因は?
「自分では一生懸命踊っているのに、動画を見るとなんとなく平坦に見える……」
そんなときは、振付を間違えているのではなく、動き方に原因があるかもしれません。
すべての動きを同じ強さで踊っている
真面目に踊ろうとするほど、最初から最後まで100%の力で踊ってしまうことがあります。
もちろん、大きくしっかり動くことは大切です。
しかし、すべての動きが100%になると、逆に「どこを見せたいのか」が伝わりにくくなることもあります。
このような変化を作ることで、強い部分がより際立つようになります。
動きと動きがすべて同じスピードになっている
メリハリには「速さ」も関係しています。
たとえば4カウントを使って腕を動かす場合でも、
「1・2・3・4」と均等に動かすのか、
「1・2はゆっくり、3で一気に動いて4で止まる」のかでは、印象が大きく変わります。
先生の振付を覚えるときは、形だけでなく、その形に到達するまでのスピードにも注目してみましょう。
「止まる」が曖昧になっている
動き続けることだけがダンスではありません。
振付の中で一瞬ピタッと止まることで、その前後の動きがよりはっきり見えることがあります。
ところが、止まるはずの場所で身体が少し動き続けていたり、次の振付を急いで準備してしまったりすると、動き同士の境界が曖昧になります。
「止まるところではしっかり止まる」という意識も、メリハリを作る大切なポイントです。
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ダンスにメリハリをつける7つのポイント
ここからは、実際に振付を踊るときに意識したいポイントをご紹介します。
全部を一度に意識する必要はありません。
まずは一つずつ、自分の踊りに取り入れてみましょう。
① 止めるところを明確にする
最初に意識しやすいのが、「止める」ことです。
振付の中でアクセントになるポーズや、強い音に合わせる瞬間があれば、身体をピタッと止めてみましょう。
腕だけの振付であっても、腕を止めるためには肩や背中、体幹なども関係します。
ただ形を作るのではなく、「この瞬間にこの形を見せる」という意識を持つことがポイントです。
鏡の前で練習するときには、一度ポーズを作ったところで静止してみるのもおすすめです。
② 速い・遅いを使い分ける
振付のスピードにも注目してみましょう。
すべてを同じテンポで動かすのではなく、素早く動くところと、時間をたっぷり使うところを区別します。
特に、先生の振付を見ているときは、
「どこから加速している?」
「どの動きに時間を使っている?」
と観察してみると、新しい発見があるかもしれません。
速い動きがかっこよく見えるのは、その前後にゆっくりした動きがあるからという場合もあります。
③ 力を入れる・抜くを使い分ける
初心者の方に特に意識してほしいのが「力を抜く」ことです。
「もっとメリハリをつけよう」と言われると、強く、大きく踊ろうとして身体全体に力が入ってしまうことがあります。
しかし、肩や腕、首などにずっと力が入っていると、かえって動きが硬くなってしまうこともあります。
この切り替えができるようになると、動きがより自然に見えやすくなります。
④ 動きの大きさを変える
メリハリは、動きの「大きさ」でも作ることができます。
たとえば、すべての動きを身体いっぱいに大きく踊るのではなく、小さな動きのあとに一気に腕や脚を大きく広げてみる。
すると、大きな動きがより印象的に見えます。
反対に、大きな動きが続いたあとに、指先や顔の向きだけを使った小さな動きを入れることで、観ている人の視線を引きつけることもできます。
大きく踊ることだけでなく、小さく踊ることも表現のひとつなのです。
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⑤ アクセントを意識する
振付の中には、「ここを見せたい」というポイントがあります。
といった音に合わせて身体をヒットさせたり、腕を出したり、顔の向きを変えたりする振付です。
こうしたアクセントをすべて同じ強さで表現するのではなく、特に見せたい音を意識することで、振付全体のメリハリが分かりやすくなります。
⑥ 音楽をよく聴く
メリハリをつけるうえで忘れてはいけないのが、音楽です。
振付を覚えることに集中していると、いつの間にかカウントだけを追いかけてしまうことがあります。
しかし、音楽には一定のビートだけではなく、
♪ ボーカル
♪ ドラム
♪ ベース
♪ メロディ
♪ 歌詞
♪ 効果音
など、さまざまな要素があります。
「この動きはどの音に合わせているんだろう?」
と考えて音楽を聴いてみると、なぜその振付にその強弱やスピードがついているのかが分かりやすくなることがあります。
音楽を聴くことは、メリハリを理解するうえでもとても大切です。
⑦ 全部を頑張りすぎない
そして最後は、全部を頑張りすぎないことです。
ダンスを始めたばかりの頃は、
「もっと大きく踊らなきゃ」
「もっと強く!」
「もっとかっこよく!」
と、すべての振付を全力で踊ろうとしてしまうことがあります。
しかし、メリハリを作るためには「見せ場を作る」という考え方も大切です。
どこを強く見せたいのか。
どこでは力を抜いていいのか。
どの瞬間を一番印象に残したいのか。
振付全体を見ながら考えてみましょう。
あえて50%や70%の瞬間を作る。
そんな考え方ができるようになると、踊り方にも変化が生まれてきます。
メリハリを身につけるための練習方法
メリハリは、頭で理解しただけですぐにできるようになるとは限りません。
そこでおすすめなのが、短い振付を使って練習することです。
8カウント程度の振付を選び、まず普通に踊ってみます。
次に、
① 「ここは止める」
② 「ここはゆっくり」
③ 「ここで一気に動く」
④ 「ここは力を抜く」
というように、自分でポイントを決めて踊ってみましょう。
そして、ぜひ活用したいのが動画撮影です。
自分ではかなり強弱をつけているつもりでも、動画で見ると思ったほど変化が見えないことがあります。
反対に、「ここは少しやりすぎたかな?」と思った動きが、動画ではちょうどよく見えることもあります。
鏡だけではなく、動画で自分の踊りを客観的に見ることで、メリハリの感覚をつかみやすくなります。
先生や好きなダンサーの動画と見比べるときも、振付の形だけを見るのではなく、
✓ どこで止まっている?
✓ どこで力を抜いている?
✓ どの音を一番強く表現している?
✓ 動きのスピードはどこで変化している?
という視点で観察してみましょう。
ジャンルによってメリハリのつけ方は違う?
メリハリはさまざまなダンスに必要ですが、その見せ方はジャンルや振付によって異なります。
ビートに合わせたアクセントや身体の重さがメリハリにつながることがあります。
素早い動きと伸びやかな動きの切り替えや、身体のラインを見せる時間が重要になることもあります。
楽曲やコンセプトによって、細かく鋭いアクセントが多い振付もあれば、柔らかく流れるような動きを大切にする振付もあります。
そのため、
「メリハリはこうつけなければいけない」
という一つの正解があるわけではありません。
大切なのは、音楽や振付の特徴を理解して、その作品に合った強弱や緩急を見つけることです。
メリハリがつくと「自分らしいダンス」にもつながる
振付を覚えたばかりの段階では、まず先生と同じ形やタイミングを目指すことが大切です。
しかし、振付に慣れてくると、
「この音をもう少し強く見せてみよう」
「ここはあえて力を抜いてみよう」
「この動きはもっと時間を使ってみよう」
など、自分なりの表現も少しずつ考えられるようになります。
もちろん、振付の意図を無視して好きなように踊るという意味ではありません。
まずは振付や音楽を理解したうえで、どのように身体を使うかを考えていく。
そうした積み重ねが、少しずつ自分らしい踊り方や表現にもつながっていきます。
よくある質問
まとめ|強く踊るだけが「メリハリ」ではない
今回は、ダンスにおける「メリハリ」についてご紹介しました。
メリハリというと、「強く踊る」「大きく踊る」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、
速い・遅い
大きい・小さい
力を入れる・力を抜く
動く・止まる
といった変化を使い分けることです。
前回ご紹介した「重心」と同じように、メリハリも振付の形だけを覚えているときには、なかなか意識しにくい部分かもしれません。
ですが、
「振付は覚えたのに、なぜか先生と同じように見えない」
「もう少しダンスをかっこよく見せたい」
と感じたときには、ぜひ自分の踊りの「メリハリ」に注目してみてください。
いきなりすべてを変える必要はありません。
一番強く見せたいのはどこだろう?」
と考えるところから始めてみましょう。
一つの動きを強く見せるためには、その前の動きをあえて柔らかくする。
素早い動きを印象的に見せるために、その前の動きに時間を使う。
そうした小さな変化を意識することで、同じ振付でも見え方は少しずつ変わっていきます。
振付を覚えるところからもう一歩先へ。
音楽をよく聴き、身体の力やスピードをコントロールしながら、より魅力的なダンスを目指してみてください。
マンツーマンレッスンでしたら、一つの踊りを細かく見てもらえるので上達が早いと言われています。
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