ダンスにはたくさんのメリットがあります。
リズム感の向上、運動不足の解消、ストレス発散、仲間とのつながりなど、思いつくだけでも数えきれません。
ただ、こうした「よく知られているメリット」だけを書いても面白くないので、今回はあまり語られることのないダンスのメリットである
「被写体としての居方が身に付く」についてお話ししていきたいと思います。
なぜ動画に映る自分はカッコ悪く見えるのか
今の時代、私たちは思っている以上に人目に触れる場面が増えています。
・人前で何かを発表する
・動画に映る
・写真を撮られる
このように、自分の姿が誰かの視界に入る機会は日常の中に溢れています。
それに伴って、自分の姿を客観的に見る場面も以前より増えてきました。
その中で、動画や写真に映った自分を見たときに
「なんだこのモジモジしてカッコ悪いやつは!」
と思った経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
普段は特に違和感なく過ごしているのに、動画の中の自分を見ると姿勢や立ち居振る舞いに違和感を覚える――これは決して珍しいことではありません。
なぜこのようなズレが起きるのでしょうか。
それは、「日常生活の常識」と「動画の中の常識」が異なるからです。
動画の中の「ナチュラル」は、日常生活での「アンナチュラル」
テレビCMに出演している俳優さんは、多くの場合とても自然に、ナチュラルに話しているように見えますよね。
しかし、あれは本当に日常生活と同じ「ナチュラル」なのでしょうか。
答えはノーです。
実際に俳優さんのセリフ回しや表情を真似してみると分かりますが、かなりテンションを上げなければ同じ雰囲気にはなりません。
もし俳優さんが日常生活のままのテンションでCMに出演していたら、棒読みに見えてしまい、違和感のある映像になってしまうでしょう。
つまり、日常生活レベルのナチュラルは、動画の世界では「アンナチュラル」に見えてしまうのです。
「普段の自分」から、「映像の中で自然に見える自分」に急に切り替えるには、相応の経験やスキルが必要になります。
被写体になる機会が多い現代において、このスキルを持っていないことは思った以上に不利に働くことがあります。
例えば仕事が嫌になり、YouTuberに転職しようとしている人がいるとしましょう。
仮にその人が「被写体としての居方」を知らなかった場合、いざ1本目の動画を撮って見てみたときに、自分の「パッとしなさ」「上手く言えないけど、他のYouTuberと違う感」に愕然とするに違いありません。
このように、「被写体としての居方が分からない」ということは、時に自分の可能性や選択肢を狭めてしまうことにも繋がります。
そして、この「居方」を身につける手段の一つがダンスなのです。

ダンスを通して身に付く「被写体としての居方」と「演技」
動画に映ったときに違和感がなく、自然でサマになって見えるためには、ある種の「演技」が必要になります。
CMの俳優さんや活躍しているYouTuberは、日常より一段階高いテンションを“演じて”います。
だからこそ、動画として見たときに違和感がなく、魅力的に映るのです。
この演技がないと、動画は途端に素人っぽくなり、説得力や存在感が弱くなってしまいます。
実はダンスは、この「演技力」を鍛えるのに持って来いな表現媒体なのです。
ダンスと演技は無関係ではない
一見すると、ダンスと演技は別物のように思えるかもしれません。
しかし実際には、演技なくしてダンスは成立しないと言っても過言ではありません。
例えば、日本のアイドルやK-POPアーティストのダンスを見てみてください。
なぜあれほどカッコよく見えるのでしょうか。
それは、「カッコイイ自分を演じながら踊っている」からです。
つまり、カッコつけているのです。
違和感が無さすぎて気づいていない方もいらっしゃるかもしれませんが、プロのアーティストとしてダンスパフォーマンスをしている方々は、1人残らずカッコつけています。
もしまったくカッコつけずに踊っていたら、自信がなさそうに見え、観る人にエネルギーや感動を与えることは難しいでしょう。
日本人は特にかもしれませんが、カッコつけることは良く無いことだという気持ちが強いです。
そのため動画撮影の場面でも、恥ずかしさから普段のテンションのまま映ってしまい、結果として素人っぽく見えてしまうという悪循環に陥りやすいのです。
ダンスには、この「カッコつけるのが恥ずかしい」という心のブレーキを少しずつ外す効果があります。
「どうやったら魅力的に踊れるんだろう?」ということを日々考えながらダンスの練習しているうちに、徐々に「演技しながら踊る」という真髄に辿り着き、やがては被写体としてサマになる「居方」が身に付いていくのです。
ダンスが持つ、身体表現の強さ
「演技力を身につけたいなら舞台の方が良いのでは?」と思う方もいるでしょう。
もちろん、舞台経験も非常に有効です。
ただし、ダンスにはダンスならではの強みがあります。
それは「身体性」です。
舞台俳優はセリフも含めて総合的に表現しますが、ダンサーは基本的に身体の動きや表情といった視覚情報しか発信できません。
そのため、姿勢、表情、体の角度といった「体の見せ方」の精度は、舞台俳優よりもダンサーの方が高くなりやすい傾向にあります。
この精度の差は、写真や動画に映ったときに特に表れます。
身体のラインの出し方やポーズの作り方に慣れているため、ダンサーは自然と“サマになる”写り方ができるのです。
だからこそ、モデルのように静止画で魅せる場面に特に強いと言えます。
動きだけでなく、「止まった瞬間のかっこよさ」を作れるのが、ダンス経験者の大きな特徴なのです。

ダンスのその他のメリット
ここまでで、ダンスで培った被写体としての居方が、その後の人生において計り知れないメリットを生むということを書いてきました。
ここからは、それ以外のメリットにも軽く触れておきたいと思います。
とはいえ、よくある「運動になる」「痩せる」といった話を並べるだけでは、ダンスの本質は伝わりません。
ダンスの価値は、もっと日常の動作や思考、そして人との関わり方にじわじわ影響してくる部分にあります。
姿勢と身体の使い方が変わる
ダンスを始めると、まず変わるのは「立ち姿」です。
鏡の前で身体を動かす時間が増えるため、自分の姿勢を客観的に見る機会が圧倒的に増えます。
すると、無理に背筋を伸ばそうとしなくても、自然と重心の位置が整っていくのです。
肩に力が入りっぱなしだった人が、少し抜けるようになる。
首が前に出ていた人が、視線を上げられるようになる。
こうした変化は見た目だけでなく、疲れ方や呼吸のしやすさにも影響します。
さらに、歩き方や座り方にも変化が出てきます。
「どう動けば楽か」「どう立てば安定するか」を身体で理解していくため、日常動作そのものが効率化されていくのです。
これはトレーニングというより、「身体の取り扱い説明書を自分で読む」感覚に近いかもしれません。
空間認識能力が上がる
ダンスでは常に、自分の位置・向き・距離感を把握し続けます。
振付を覚えるだけでなく、周囲との距離や立ち位置、移動の軌道を同時に処理しているのです。
この習慣は、日常生活でも意外な場面で活きてきます。
例えば人混みの中を歩くとき、自然と人を避けられるようになります。
誰かとすれ違う瞬間のタイミングが合うようになり、無駄な接触やストレスが減ります。
仕事の場面でも、複数人で作業するときの立ち位置や動線の取り方が上手くなります。
「どこにいれば邪魔にならないか」が感覚的に分かるため、周囲との協調が自然になります。
これは単なる運動神経とは別の、「環境を読む力」に近い能力です。
感情表現が豊かになる
ダンスは、言葉を使わずに感情を出す練習でもあります。
強い動き、柔らかい動き、鋭い止め、ゆっくりした流れ。
これらはすべて感情のニュアンスと結びついています。
最初は「振りをなぞる」だけだったものが、次第に「どう見えるか」を意識し始めます。
すると、表情や視線、顔の筋肉の動きが自然に変わっていきます。
この変化は、会話やコミュニケーションにも波及します。
相手の話を聞くときの表情、うなずき方、声のトーン。
これらが無理なく変えられるようになるため、「感じがいい人」「話しやすい人」と受け取られやすくなります。
ダンスは感情を大きくするというより、「感情の出し方の幅」を増やす行為に近いのです。
継続力と自己管理が身につく
ダンスは、短期間で劇的に変化するものではありません。
少しずつ身体に染み込ませていく必要があります。
その過程で、「わずかな前進に気づく習慣」が生まれます。
「昨日より少し動けた」「先週より形になった」といった微細な変化に気づく力は、他の分野でも非常に強力です。
勉強、仕事、トレーニング、創作活動。
どれも一気に成果が出るわけではありません。
ダンスで培われる継続力は、こうした積み重ね型の活動にそのまま転用できます。
また、体調や集中力によって動きが変わるため、自然と自己管理の意識も高まります。
「今日は調子がいい」「少し疲れている」といった身体感覚への理解が深まるのです。

よくある質問
ダンスをやると人前に立つのが得意になりますか?
発表会や舞台に出なくても、鏡の前で自分の動きを確認する習慣が増えるため、「見られている状態」に慣れていきます。
その結果、人前で話すときや写真に写るときの緊張が和らぎやすくなります。
ダンスって見た目の印象は変わりますか?
体型というより、「立ち方」「姿勢」「視線」「表情」の変化が出やすいです。
写真や動画に映ったときに、以前より自然に見えると感じる人は多いです。
ダンスをやると自信がつくって本当ですか?
自信というより、「自分がどう見えているかが分かるようになる」感覚に近いです。
動きやポーズを繰り返し確認する中で、違和感の修正ができるようになるため、結果的に堂々として見えるようになります。
ダンスって日常生活に役立つことはありますか?
あります。
姿勢や歩き方、立ち居振る舞いといった「普段の身体の使い方」に変化が出やすく、写真や動画に映ったときの印象も自然と変わってきます。
運動というより、「見え方の癖が整っていく」感覚に近いです。
ダンスのメリットって運動以外にもありますか?
運動効果もありますが、それ以上に「自分の見え方を扱えるようになること」が大きいです。
動画や写真、人前に立つ場面での違和感が減り、“サマになる”感覚が身についていきます。
まとめ
ダンスのメリットは、健康や運動効果だけでは語りきれません。
「被写体としての居方が身につくこと」。
「姿勢や身体の使い方が変わること」。
「空間を把握する力が高まること」。
「感情表現の幅が広がること」。
そして、「続ける力と自己管理が身につくこと」。
これらはすべて、「踊れるようになる」ことの副産物です。
ダンスは特別なスキルを得るための行為というより、
「自分の見え方と在り方を少しずつ整えていく習慣」に近いのかもしれません。
気づいたときには、
以前よりも自然に立ち、自然に動き、自然に見られるようになっている。
その変化こそが、ダンスの静かで大きなメリットなのです。
